中沖酒造店

中沖酒造店は、大正12年創業の約100年の歴史を持つ酒蔵である。初代が杜氏・高橋義孝さんの祖父が別の家から酒蔵を引き継いで創業した。昔は岩手県から蔵人がやってきて酒造りをしていたが、今はその技術は川西町に引き継がれて近隣の農家の人たちが蔵人として働き、全て川西町の人々で守られた酒蔵になっている。昭和年間に蔵を新しくして現在に至る。すぐそばにある高橋さんは八幡神社の氏子でもであることから御神事として使われている。地元、川西町大塚地区の運動会に協賛して地域を支え、地域に親しまれている酒蔵になった。

中沖酒造店

自然豊かで静かな環境で酵母の音に耳を傾ける

川西町はは非常に環境が良い。町自体が山々に囲まれ、田んぼが広がる。酒蔵は持ち山と林・神社がある静かな場所に佇む。冬になると地元農家の蔵人たちが集まってくる。もちろん、使用する酒米も地元で生産されたものだ。オール川西町の酒造りが始まる。

「伝統というよりも微妙に研究しながらうまい酒ができないか日々努力していますよ」と高橋さん。昔のアトリエのような研究室にも見える部屋で、酵母の健康状態を数時間おきにチェックしつつ杜氏独自の酒母造りに余念がない。実に興味深く微妙な研究をされているようだった。

中沖酒造店

新しい酒米・雪女神を使って金賞を受賞
杜氏の研究と地元の蔵人との意思疎通の米作りと酒造り

仕込み蔵には板が這わせてある。移動しながら仕込みができる工夫になっている。「昔からこれでうちらはこれで慣れているので」と高橋さん。登ってみると、確かに全体の雰囲気を見渡すことができた。

4年前から研究を始めて造った酒がたった2年で金賞を受賞した。大吟醸用に生産した雪女神という新しい酒米での酒造りにチャレンジして、テスト的に賞に応募したら受賞したという。杜氏の研究と地元の蔵人との意思疎通が取れた米から作り出す酒造りが功をなした。

中沖酒造店

とにかく飲みやすく お酒を飲まない人でも飲みたくなるお酒を

若者の間で酒飲みや日本酒離れ進む中、中沖酒造店での最近のこだわりはただ一点。とにかく飲みやすいお酒を作ること。普段お酒を飲まない方や、女性も晩酌をしたくなるようなお酒を作ることを目指している。

高橋さんは言う。「まずは地元の人々に選ばれて、中沖の酒を探している人に飲んでいただいて、お酒を普段飲まない全国の人にも一度飲んでいただければ、きっと喜んでもらえると思って造っています」

中沖酒造店

酒造りを続けたいから
絶対にやらなければならないこと以外は楽をする

酒造りには絶対にしなければならないことがある。それがちゃんとできていれば、なるべく機械や装置をつかったり、渡板を這わせたり、効率化できる道具があればどんどん使ってみて、杜氏と蔵人が楽に丁寧に研究と酒造りができるのであれば、人手不足の中でも酒続けられる時代にマッチした酒蔵なんじゃないかと高橋さんは考えているという。ちゃんと続けていける酒蔵を目指して。

今回、杜氏の高橋さんに始めてお会いしたが、考えて酒造りをしているのを感じた。牧野洋酒店でもそれをお客様に少しでもお伝えていけたらと思う。この記事をお読みになって、少しでも興味が持てましたらお試しに一献いかがでしょうか。

(取材:牧野洋酒店・代表取締役 牧野淳一)

川西町

中沖酒造店

大正12年創業。一献が、二献三献とすすむような 地味だけど滋味な酒です


株式会社中沖酒造店

代表取締役・杜氏 高橋義孝
山形県東置賜郡川西町西大塚1792-3
TEL:0238-42-4116
URL:https://uyo-ikkon.co.jp/
代表銘柄:羽陽一献、出羽の里、A South Dog

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